中医学では、外部から侵入する邪気を「六淫」と呼びます

風 寒 暑 湿 燥 火 

季節ごとに侵入しやすい傾向の邪気があります
夏の邪は(=湿です。唯一の複合要素でできた邪気です。
(勿論クーラー病で風寒になるひともいます)
熱中症は中国語で中暑(暑に中る)と言います。

 という漢字から
上に日が一つ、照りつける太陽
下に日がもう一つ、太陽に焼かれた大地

大事なのは真ん中の土、五行で脾胃(中医学では食物を吸収し気と血や津液に転換する部位)に当たります
つまり暑邪の侵入は脾胃と関係が深いです


火邪が侵入すると、高熱、咽頭痛、口内炎、口渇、イライラ、痙攣、意識障害を起こします(火は心に直逹する 心は神を司る)
火を消すのは水です
飲んだ水がすぐにこの火を消せるわけではありません
飲んだ水が脾胃によって津液になります
この津液が火を消します

つまり、津液が不足し、火を消せない人が火邪に中ります
津液が不足する原因は様々ですが
最も多いのは、脾胃の機能障害です

脾胃はストレス(肝火)や食べ過ぎ(食積)でも機能障害になりますが、
そもそも寒と湿に非常に弱い臓器です
平素より清涼飲料水やビール、牛乳、冷えた緑茶などに晒されていると
脾胃はとても弱ります 
生野菜、果物もおおよそ寒性が強いです
多量摂取すると、脾胃を傷めます

つまり、熱中症を避けようと思って大量の冷えた茶やビールを飲んでいると
中医学的には、逆に脾胃を傷め熱中症にかかりやすくなります
冷えた飲み物で気持ちいいのは、舌だけです

火邪は体の中の津液をさらに消費し、一気に脱水に陥ります


湿邪が侵入すると、重だるい、体や口の中がベトベトする、苦しさ、悪心嘔吐、下痢、などの症状が出てきます
湿も水分なので火邪を消せるのではないか?
と思うかもしれませんが、できません
湿とは、一度吸収されたが、脾胃によって気血津液まで昇華できず、体に纏わりつくベトベトの使えない水分です
(「消」はできたが「化」できなかった水分)
大海原で飲めない水に囲まれているのと一緒です
湿に囲まれているが体はもっと水分を欲しがります

この湿が、脾胃を傷め、さらに湿を作ります

つまり、熱中症を避けようと思って大量の冷えた茶やビールを飲んでいると
それが湿となり脾胃を傷め、更に湿を呼び熱中症にかかりやすくなります
冷えた飲み物で気持ちいいのは、舌だけです

熱中症予防では、
高温多湿の外環境を避けるのはもちろん
日頃から脾胃をキンキン冷え冷えにしないことが大事です

特に脾胃が弱い高齢者や子供、日頃から胃腸が弱い方々は非常に熱中症にかかりやすいです。

熱中症になった時の中医学的治療戦略(詳細略)

1、火邪に出口を作ること。保冷剤で冷やすのは、火邪の体内に閉じ込めるのと一緒で、中医学的には禁忌です。アルコールなど揮発性のもので体表を拭くのはアリのようです。

2、腸や膀胱から湿と熱を瀉すること。(便や尿から火と湿をだす 滑石や生甘草を使用。急性期の大汗や下痢は湿熱をデトックスしているので絶対止めないこと。脱水あれば適切な方法で補充)

3、脾胃の機能回復させること。(藿香正気水を使用  日本漢方で使うなら、補中益気湯や六君子湯あたりか)

です。

上記、有名な中医師、徐文兵先生の著書を参考に記載してみました〜⭐️
みなさま良い夏を〜