中医太美

中国瀋陽市出身 名古屋大学医学部医学科卒業 安城更生病院 神経内科 現在出産後より安城市で町医者をしています 数年前より中医学に魅了され、中国の中医師の本を翻訳してブログで伝えていこうと思います

2018年08月

皆さんは秋の風をどのように感じていますか

春の風は、顔に当たっても冷たくは感じず
体内のエネルギーが風に呼び起こされ上昇していく感覚がすると思います


一方、秋風はとても涼やかで、時には冷ややかで
葉っぱを散らすように、吹き下ろされる感覚だと思います

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秋は、殺伐とした「気」を含んでいます

五行(金木水火土)では、秋は「金」に当たります
金は金属を意味し、刀や兵器をさします
秋は、昔は挙兵や死刑や狩猟の季節でした
他の季節に行うより、自然の気に従っているので
行為を行う人の気を損じないと言われています

現代に当てはめると、恋人と別れたり部下をクビにしたいなら
春に行うと、必ず自分の心身もダメージを受けます
(自分から振ったのに、かえって不眠になっちゃった人いませんか?笑)
秋に行うと、ダメージが少ないはずです

皆さん、自分を守りたいなら
離婚も左遷命令を下すのも、秋にしてください
と中医学が教えてくれています(笑)

さて、本題
秋の風

中医学では
外からやってくる病気の原因を「六淫の邪」と呼びます
   湿  

季節ごとに、問題になりやすい邪気が違います
例えば夏は、暑と湿と火が人体を犯しやすいです(熱中症のところで書きました)
秋は、「」と「」が問題となりやすいです

今回は「風の邪気」、いわゆる風邪について話します

風は六つの邪気の中ので最も人の体を犯しやすい邪気です
風が、人体の皮膚の「窓」をこじ開け体に侵入するとともに
他の邪気も一緒に連れ込むが多いです

夏は毛穴が開き、デトックスとして汗を出していた体ですが
秋が深まるにつれ風が強くなるので、
健康な人はだんだん皮膚が締まり、陽気が内臓へと収斂し、それほど汗をかかなくなります

秋になっても収斂できない人は、
毛穴が開いたままで風の邪気に侵されやすいです
(収斂できない、とは、
気虚(平たく言えばエネルギー不足)で収斂する力が足りなかったり
辛いものを好むため常に体が発散傾向のことを指します)

風呂後、飲酒後、性行後など、毛穴が開いたまま風に当たるのは中医学的には禁忌です

また、人は起きている時は「衛気」というものが体を守っています
寝ると衛気は体の中に入ってしまいます
この時、風はこっそり体の中に入りやすいので、
寝ている時に風にあまり当たりすぎないように注意が必要です

風の邪気は様々な症状を引き起こしますが
固定せず変化に富むのが特徴です
風は皮膚、血脈、臓腑を自由自在に動きます
急に皮疹が出たり、急に膝が痛くなったり、急に熱を出したり、、
何もしていないのに汗が止まらないこともあります
気がどんどん外に漏れ、元気がなくなっていきます


気虚で収斂できない人のための処方があります
「玉屏風散」
正気が不足するため、軽い体動で容易に発汗し、毛穴が開いたままで
風邪にかかりやすい人のための処方です
風と体の間に屏風を立てる、という意味のネーミングです

体表で風が侵入しやすい経路が2つあります

①後頭部と首の接合部
接合部は気血が不足しがちで侵入されやすいです

3つのツボが風の出入り口になります
風府 風池 翳風(えいふう)
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ここから風が侵入すると、頭痛や顔面神経麻痺、眼瞼痙攣、難聴耳鳴り、鼻づまりなどを引き起こします

秋が深まる頃は、帽子をしなくても、服が薄くても、
首をマフラーで守り風が侵入を防ぐことが大事です

②左右の肩甲骨の間
風門と、乗風いうツボが侵入口になります。
ここから風が胸腔内に侵入すると、咳やくしゃみ、蕁麻疹を引き起こします(中医学では肺は表皮を司ります)目がかゆい症状もここの症状のようです。
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よって、
背中を外に露出した服を着用するのも、風邪の原因になります

風が体内に侵入した後は、これらのツボに針灸を施し、入り口から風を駆除します
もちろん薬も使います


皆さん、
涼しいからといって、
汗だくで風邪に当たらないよう、お気をつけください






8月7日は立秋でした
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中国では、節気が変ると自然の「気」がガラッと変わると言われています。
例え同じ気温でも、立秋前日までは灼熱とした暑さだったのが、立秋の日からなんとなく爽やかになるはずです
皆さんも、8/7からの「気」の違いは感じられたでしょうか
明らかに朝夕は違いますね

秋は収穫の季節です
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中医学では、秋は養「収」が大事です

健康な人は、夏に体も心も開放的で、情熱的になっていたはずです
陽気が四肢体表に発散していたはずです

秋はその陽気を体の中へと収斂していきます
内臓に気血が徐々に充実し食欲もだんだん戻り
冬に備え、心身のリズムを調節していく必要があります

秋三月、此謂容平(黄帝内経より)
「容」とは、ゆったりした状態のことを指します(従容)
「平」とは、平和、平静な状態を意味します
春に種を植え、夏は頑張って畑を耕した後、秋の収穫の時期です。健康な人は心がゆったりと、穏やかなはずです

言い換えれば、
春はしっかり養「生」できず、心身のエネルギーが萌え出る事を逃し
夏はしっかり養「長」できず、エネルギーの成長、発散ができなければ
秋になると、もの寂しくて悲愁な気持ちになります
これは不健康な状態です
愁という漢字は、まさにこの秋の特有の感情を表しています

無理に秋に焦って頑張り始ても
自然の「気」に反しているので、
成果を得られない上に非常に健康を損じる結果になります
できるだけゆったりと心を保ち、
経験教訓をまとめ、次の自然のリズムがくるのを待ちましょう

秋はいかなる場合も心持ちを ゆったり 穏やかに保つ
が大事です
(春はワクワク、夏はイケイケ、秋はフー ですね)

悲しい気持ちになってしまった方は
「心」を補う必要があります
中国では動物薬を主に使います(血肉有情之品)
阿膠(ロバの皮)、鹿の角、スッポンの甲羅、亀板膠(亀の甲羅の煮こごり)などです

もっと簡便に
お臍でお灸をしたり(神厥というツボです)


そして、神蔵、霊墟(灵墟)、神封、の3つのツボを指圧したり
などの方法があります
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そして睡眠は、夏の「遅寝早起きから」
早臥早起、與鶏倶興(黄帝内経より)


つまり早寝早起き、鶏のようなリズムで暮らすことが勧められます

早寝とは何時ころでしょうか?

中国では21:00-23:00が「人定」と言われる時間帯で、
この時間内に寝ることが勧められます

夏は遅寝でいいので23:00まで起きていても構わないですが
秋冬は21:00ころに寝ることが勧められます

働いている皆さんは難しいと思いますがなるべく近づくよう努力することが健康維持には大事です

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