皆さんは秋の風をどのように感じていますか
春の風は、顔に当たっても冷たくは感じず
体内のエネルギーが風に呼び起こされ上昇していく感覚がすると思います
一方、秋風はとても涼やかで、時には冷ややかで
葉っぱを散らすように、吹き下ろされる感覚だと思います
秋は、殺伐とした「気」を含んでいます
五行(金木水火土)では、秋は「金」に当たります
金は金属を意味し、刀や兵器をさします
秋は、昔は挙兵や死刑や狩猟の季節でした
他の季節に行うより、自然の気に従っているので
行為を行う人の気を損じないと言われています
現代に当てはめると、恋人と別れたり部下をクビにしたいなら
春に行うと、必ず自分の心身もダメージを受けます
(自分から振ったのに、かえって不眠になっちゃった人いませんか?笑)
秋に行うと、ダメージが少ないはずです
皆さん、自分を守りたいなら
離婚も左遷命令を下すのも、秋にしてください
と中医学が教えてくれています(笑)
さて、本題
秋の風
中医学では
外からやってくる病気の原因を「六淫の邪」と呼びます
風 寒 暑 湿 燥 火
季節ごとに、問題になりやすい邪気が違います
例えば夏は、暑と湿と火が人体を犯しやすいです(熱中症のところで書きました)
秋は、「風」と「燥」が問題となりやすいです
今回は「風の邪気」、いわゆる風邪について話します
風は六つの邪気の中ので最も人の体を犯しやすい邪気です
風が、人体の皮膚の「窓」をこじ開け体に侵入するとともに
他の邪気も一緒に連れ込むが多いです
夏は毛穴が開き、デトックスとして汗を出していた体ですが
秋が深まるにつれ風が強くなるので、
健康な人はだんだん皮膚が締まり、陽気が内臓へと収斂し、それほど汗をかかなくなります
秋になっても収斂できない人は、
毛穴が開いたままで風の邪気に侵されやすいです
(収斂できない、とは、
気虚(平たく言えばエネルギー不足)で収斂する力が足りなかったり
辛いものを好むため常に体が発散傾向のことを指します)
風呂後、飲酒後、性行後など、毛穴が開いたまま風に当たるのは中医学的には禁忌です
また、人は起きている時は「衛気」というものが体を守っています
寝ると衛気は体の中に入ってしまいます
この時、風はこっそり体の中に入りやすいので、
寝ている時に風にあまり当たりすぎないように注意が必要です
風の邪気は様々な症状を引き起こしますが
固定せず変化に富むのが特徴です
風は皮膚、血脈、臓腑を自由自在に動きます
急に皮疹が出たり、急に膝が痛くなったり、急に熱を出したり、、
何もしていないのに汗が止まらないこともあります
気がどんどん外に漏れ、元気がなくなっていきます
気虚で収斂できない人のための処方があります
「玉屏風散」
正気が不足するため、軽い体動で容易に発汗し、毛穴が開いたままで
風邪にかかりやすい人のための処方です
風と体の間に屏風を立てる、という意味のネーミングです
体表で風が侵入しやすい経路が2つあります
①後頭部と首の接合部
接合部は気血が不足しがちで侵入されやすいです
3つのツボが風の出入り口になります
風府 風池 翳風(えいふう)
ここから風が侵入すると、頭痛や顔面神経麻痺、眼瞼痙攣、難聴耳鳴り、鼻づまりなどを引き起こします
秋が深まる頃は、帽子をしなくても、服が薄くても、
首をマフラーで守り風が侵入を防ぐことが大事です
②左右の肩甲骨の間
風門と、乗風いうツボが侵入口になります。
ここから風が胸腔内に侵入すると、咳やくしゃみ、蕁麻疹を引き起こします(中医学では肺は表皮を司ります)目がかゆい症状もここの症状のようです。

よって、
背中を外に露出した服を着用するのも、風邪の原因になります
風が体内に侵入した後は、これらのツボに針灸を施し、入り口から風を駆除します
もちろん薬も使います
皆さん、
涼しいからといって、
汗だくで風邪に当たらないよう、お気をつけください
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