中医太美

中国瀋陽市出身 名古屋大学医学部医学科卒業 安城更生病院 神経内科 現在出産後より安城市で町医者をしています 数年前より中医学に魅了され、中国の中医師の本を翻訳してブログで伝えていこうと思います

2020年02月

さて前回記事で、新型コロナウィルス感染症の中医学的病機は、季節外れの「湿」と記載しました。

「湿」が病を作るのは、外的要因の「外湿」と、人の内的要因の「内湿」があります。

 外湿の影響を最も受けやすいのは、もともと内湿が甚だしい人です。

 分かりやすい例え、普段から体温が低い人は寒さで病気になりやすいですよね。普段から暑がる人は高温環境に耐えられないですよね。
 それと同じ事で、普段から体内に「湿」を溜め込んでいる人は、外湿に影響されやすいです。

 湿を溜めている人はどういう人か。

 浮腫んでいる人!、、分かりやすいですね。
 確かにそうですが、それだけではありません。
 内湿をよく痰湿とも呼ぶが、主に脾胃(消化機能をさす、西洋医学の脾臓は関係ありません)の機能低下の結果、副産物として作られたドロドロベタベタのゴミのイメージです。
 味の濃い脂っ気が強いものや、甘いものは、中医学的には、脾胃に負担がかかりやすく、痰湿を作りやすいです。
 作られた痰湿が血に溜まり、西洋医学でいわゆる脂質異常症や糖尿病になります。内臓に溜まればいわゆる内臓脂肪、脂肪肝になります。皮下に溜まれば贅肉になります。どこかに集結していれば痰核とよばれ所謂腫瘤になります。肺や鼻に現れれば痰や鼻汁です。舌に溜まれば、中医師が臨床で重要視する胖大舌の所見となります。

↓胖大舌2例
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↓正常舌1例

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 上のように正常舌と比べ、胖大舌は腫れぼったく、口の幅いっぱいにあふれています。そして、程度が甚だしいと、上の写真のように、歯の圧迫の痕が舌辺縁についています。このような胖大舌を呈している人は、実は日常診療で非常に多く出くわします。現代の食事はリッチすぎるんでしょうか。

 ここでまず、外湿の影響を受けやすい人①内湿が重い人
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 ↑こんな体型の人は大抵内湿が甚だしいです。舌を見なくても分かります。
 肥満体型ではない人でも当然内湿が過剰な人はいます。舌所見や脈所見で総合判断します。
 私の経験上、中高年者は内湿が過剰のことが非常に多いです。
 ただし子供はぽちゃぽちゃしてても通常湿がたまっていると判断しません。子供は中医学的に湿はたまりにくいです。よほどジャンクフードやアイスクリームやこってり洋食ばかりで、冷えたジュースが大好きな現代っ子なら話は別です。

 新型コロナウィルス感染症で重症になりやすいのは中高年で、子供は軽症が多いというのは、中医学的に内湿の体質差でも説明できます。



 さて、
外からの湿気を排出できない人もまた要注意です。

 どういう人でしょうか。

 想像してみてください。湿気を飛ばすのは何でしょうか。

 です。

「熱」に欠ける、すなわち、体温が低めで活動性が低い人、中医学用語でいう陽気が足りない=陽虚の人は、外湿の影響を受けやすいです。よって、内湿はそこまででもないが痩せて低体温な高齢者も、今回の新型コロナウィルス感染で重症化しやすいです。子供は陽気旺盛(動き回っていますよね!)ですので、この観点からも子供は重症化しにくいです。

 ここで、外湿の影響を受けやすい人②陽虚の人
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 湿を散らす「風」がない、すなわち、風通しの悪いところにいる人も要注意です。
 今回の新型コロナウィルス感染は密閉空間でのエアロゾル感染もあると言われていますが、中医学的には風通しの悪い密閉空間は湿邪が猛威をふるいやすい環境にです。
 ちなみに2003年のSARSも湿邪でしたが、その時も医療者を始め密閉空間で働く人が大量に罹患しました。不思議な事に、タクシー運転手は全然かからなかったと言われています。中国に行った事のある方ならご存知ですが、中国のタクシー運転手は窓を開けているのが大好きです(笑)

ここで、外湿の影響を受けやすい人③閉鎖空間にいる人

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 以上、外湿に影響されやすい、すなわち新型コロナウィルス感染症で重症化しやすい人を中医学的視点で解説しました。

 ひとまず生活で注意する事は、

1、食事は、湿となりやすい脂っこい食事や、甘い味を避ける。湿気を飛ばす辛味のもの、芳香のものやスパイスを摂る(次の記事で語ります)

2、冷えた飲食を避ける(脾胃機能は冷たいもので障害されます)

3、陽気を補う。やり方はたくさんあります。まず天気の良い日は太陽に当たること、とりわけ背中は人の陽側なので太陽に当てておくこと。適度な運動も陽気を上昇させるが、大量に汗かくことは陽気を損じる。生姜、ネギ、ニンニクなど陽気を補う食物を摂る。などなど。

もちろん大前提は感染対策と
過剰な七情六欲がないよう、心情を
「恬淡虚無  真気従之」に保つことですね。
とても簡単に説明すると、自身を受け入れ、他者からの締め付けもなく、本来の自分でいるゆったりした心情のことです。中医学的養生の核心であり、難しいですYo〜

 逸れました
 以上外湿に影響されやすい体質を書きました。ではこの外湿に対し生活の中でどう予防するのがいいか、現場で予防の中医薬はどういう風に使われているか、次回の記事で書きます。


今回の新型コロナウィルス感染症の中医学的病機を まとめてみました
参考:
「新華網 北京中医医院院長 劉清泉の武漢視察インタビュー」
 劉先生は中国政府が結成したCOVID-19対策中医チームのリーダーの一人で、中国政府が発表した治療方案を作成した一人です。
 上記を抜粋翻訳し、私なりの解説交えてお伝えします。病機から予防にも繋げられるのでご参考ください。
 漢方を勉強している先生方にも参考になるよう記載していますので、一般の方は難解な言い回しは読み飛ばしてください。


 多くの著名中医師が提言するように、上の記事でも病機が「湿邪」が中心と述べています。
 湿邪とは、外部からの疾病の原因の六淫(風 寒 暑 湿 燥 火または熱)の一つで、人体に影響する外部の湿気のことです。
 今年の武漢はそもそも暖冬の異常気象でした。例年冬になると雪が降るが、今年はシトシトと雨が長引きました(1月中は16日間も雨でした)。乾燥するはずの季節なのに、暖冬と長雨で過剰な湿気上昇が発生しました。
 「非其時而有其気」
 一年四季二十四節気七十二候、その時期に応じ寒熱は変わるが、時期に合った変化でなければ人は病気(特に感染症)を患いやすいとされる。例えば、春は温暖のはずなのに寒い、秋は涼しいはずなのに熱い、今回で言えば冬は寒いはずなのに暖かい、乾燥するはずなのに湿潤といった変化である

 さて湿とは、水気であり、陰の要素を含み、体内の陽気を障害します。烏雲が太陽を覆い被るように、混沌でスッキリしない状態をもたらします。体や頭が重く、目や口の中や鼻や喉が粘っこい感覚があります。静かに人に纏わりつき、停滞し、そしてなかなか除去しにくい特徴があります。中医師が最も手を焼くのがこの「湿邪」です。
 湿邪は寒気と共に体内に侵入すれば「寒湿」、風と共に侵入すれば「風湿」となります。もともと陽性体質であれば侵入してすぐに体内で熱化し「湿熱」になります。反対の燥邪と合わさる事もあり、「燥湿」証を呈することもあります。

劉清泉先生の武漢視察では、湿証の患者が中心だったと言います
以下抜粋翻訳

 現地の患者の多くは最初から高体温ではなく、無熱または微熱でした。38.5℃を初期から呈する人は少なかったです。殆どの人は倦怠感、頭重感、食思不振を呈し、一部では悪心、胸苦しい、心窩部違和感、水様便が認められました。殆どが咽頭部違和感を訴え、一部では乾性咳嗽がありました。この状態が5-7日持続し、この段階で治療すると殆どの人は回復期に移行していきます。急に39℃以上になった場合、患者の容体も急激に重症に入り、呼吸困難感と頻呼吸、SpO2低下、CT上広範の肺陰影を呈するようになります。
 患者の舌証は、白苔であれ黄苔であれ、厚膩苔(厚くてべっとりへばりついた苔)であるのが共通点でした。症状と舌証と脈証と武漢の異常気候と合わせ、今回は湿邪が中心と判断しました。

 各地の気候特徴によって特徴が異なってくるが、新型コロナウィルス感染症に通じる特徴としては「湿邪」です。おおよその経過は、
湿困脾閉肺(湿が脾の働きを止めた結果、肺の働きも止まり)
気機昇降失司(体内の「気」の昇降がコントロールを失い)
湿毒化熱(留まる湿毒が熱化し)
陽明腑実(胃腸に熱が及び)
湿毒瘀熱内閉(まとわりつく湿気が熱をさらに閉ざし、熱は外に出られなず)
熱深厥深(熱はさらに深くへと傷害していく)
が大まかな段階です。
 その人に合わせ、「寒湿」「湿熱」「燥湿」の治療をしていく事が大事です。
 早期では「化湿(湿を飛ばす)」治療が中心で、湿が熱化しないように防ぐ事が肝心です。上記より、麻杏薏甘湯、昇降散、逹原飲、厚朴夏苓湯、藿香正気散、銀ぎょう散などの方剤を基本方剤とし、基本的な中医学的治療法案を考案しました。状況に合わせ現場で微調節してください。

 現場中医師への注意:
 通常のインフルエンザや他の感染症にも「風熱挟湿」「熱毒挟湿」はあり、清熱解毒に袪湿法を使っていました。その場合、熱がなくなれば通常湿が速やかに消失していました。しかし今回はそれとは違い湿邪が非常に重いのが特徴です。早期より清熱解毒を優先してしまうと、寒涼な薬剤で湿邪を内部に閉じ込めてしまい増長させてしまいます。化湿法(芳香化浊避秽,透表散邪,升降脾胃)を中心とし、治療にあたるとよいと考えます。湿が消えれば熱も自然と散り、状態が改善すると考えます。
 患者様への提案:
 呼吸困難感や頻呼吸、SpO2低下がない、平熱でかつ基礎疾患(心臓や肺の慢性疾患、腎機能障害、免疫抑制状態など)がない場合であれば受診せず、怖がらず、家でよく休み、飲食に注意し(寒涼な飲食を避け、湿を作りやすい甘い味やコッテリ味を避ける)中薬(漢方薬)を内服してください。

以上抜粋翻訳
 次は、新型コロナウィルス感染症で重症化しやすい体質を中医学的観点から解説し
中医学的予防について記載します。

2/19中国が発表した新型コロナウィルス感染症 診療方案 第六版
第五版からの注目の変更点は
1,伝播経路について
経気道飛沫感染は変わらないが
「接触感染」から「密接接触」と記載を変更している。長時間密閉空間でのエアロゾル感染を追加している。
2、抗ウィルス薬について
第5版では「確実に有効と認められる抗ウィルス薬はない」と記載されていたが、第6版では抗マラリア薬のChloroquine Phosphate(成人500mg×2回/日 10日以内使用)と、抗インフルエンザウイルス剤のfavipiravir(成人200mg×3回 10日以内使用)が追加されている
Interferon alfa(500万U噴霧吸入 2回/日)
エイズ治療薬Lopinavir/ritonavir (LPV/r)(200mg/50mg/粒 2粒×2回/日 10日以内投与)
抗ウィルス薬Ribavirin 500mg/回 2-3回/日静注投与 10日以内使用(上記のInterferon alfa或いはLopinavir/ritonavir 併用を推奨)
ただし上記薬剤の3種類以上併用を薦めない 



3、中医治療
第五版から第六版へは非常に内容が充実し、中医学を多少かじった医師にも判断しやすいよう細かい指示が盛り込まれている
第六版治療編の7ページ中4ページ以上において中医学的対応を記載されているが、他国言語に適切に翻訳しにくいためか日本に情報がほとんどない。触れられてすらいない。
生薬処方は日本で保険適応であり(保険適応外の生薬は指示欄に別で記載すれば入れられる)生薬を保険調剤する薬局は実は各所にあるので活用していっていただければ幸いである。煎じ方は大方扱っている薬剤師に聞けばわかるはずである。
1医学観察期
臨床表現1 :倦怠感+胃腸症状(主に悪心や下痢を指すと思われる)
推薦処方:藿香正気散(散ではない丸薬でも水薬でも良い)こちらは第二類のみ日本でも売られている。
臨床表現2:倦怠感+発熱
推薦処方:金花清感顆粒 連花清瘟カプセル(顆粒) 疎風解毒カプセル(顆粒) 
上記は中国では一般の薬局で手に入りやすいが、日本ではなかなか手に入らない。個人的にはの本でも売られている銀ぎょう解毒散(第2類)でも代用可能と考えている。
2臨床治療期 以下は売られている散剤ではなく生薬になる
清肺排毒湯(適用範囲:軽症、通常型、重症、重篤の患者には状況に合わせて使用)
基本方剤:麻黄9g 炙甘草6g 杏仁9g 生石膏15~30g(先に煎じる) 桂枝9g 沢瀉9g 猪苓9g 白朮9g 茯苓15g 柴胡16g 黄芩6g 姜半夏9g 生姜9g 紫苑9g 冬花9g 射干9g 細辛6g 山薬12g 枳実6g 陳皮6g 藿香9g
上記が一日の分量 水で煎じ(通常600mlの水で弱火で300mlになるまで煎じる)2回に分けて食後40分に内服。3日で1クール、効果はあるが不十分なの場合2クール目に移行。服薬後お粥半杯~一杯摂る事を推奨。熱がない患者は石膏を減量。発熱が顕著であれば石膏増量。
軽症例
(1)寒湿鬱肺証
発熱、倦怠感、全身の疼痛、咳嗽、喀痰、息苦しさ、食思不振、悪心、嘔吐、大便が粘稠でスッキリしない 舌質淡胖歯痕あるいは淡紅、苔白厚腐膩あるいは白膩、脈濡あるいは滑
推奨処方:生麻黄6g 生石膏15g 杏仁9g 羗活15g 葶藶子15g 貫衆9g 地竜15g 徐長卿15g 藿香15g 佩蘭9g 蒼朮15g 雲苓45g 生白朮30g 焦三仙各9g 厚朴15g 焦檳榔 煨草果9g 生姜15g
上記が1日の分量。600mlの水で煎じ1日3回に分けて食前に内服。
(2)湿熱蘊肺証
微熱あるいは発熱なし、軽い悪寒、倦怠感、頭や体が重い、筋肉痛、乾性咳嗽、咽頭痛、口は乾くが飲みたがらない、あるいは胸苦しさと胃の膨満感を伴う、無汗あるいは汗がスッキリ出ない、あるいは悪心と食思不振、水様便あるいは便を出しきれない感覚 舌淡紅、苔白厚膩あるいは薄黄、脈滑数あるいは濡
推奨処方:檳榔10g 草果10g 厚朴10g 知母10g 黄芩10g 柴胡10g 赤芍10g 連翹15g 青蒿10g(後から入れる) 蒼朮10g 大青葉10g 生甘草5g
通常例
(1)湿毒鬱肺証
発熱、咳嗽と少量の痰、あるいは黄痰、息苦しく頻呼吸、腹部の張り、便秘、舌質暗紅、舌体胖、苔黄膩あるいは黄燥、脈滑数あるいは弦滑
推奨処方:生麻黄6g 苦杏仁15g 生石膏30g 生薏苡仁30g 茅蒼朮10g 広藿香15g 青蒿草12g 虎杖20g 馬鞭草30g 乾芦根30g 葶藶子15g 化橘紅15g 生甘草10g
(2)寒湿阻肺証
微熱、熱があると感じるが実際皮膚温は低い、あるいは無熱、乾性咳嗽、痰は少ない、倦怠感、胸苦しい、胃の膨満感、あるいは悪心、水様便 舌質淡あるいは淡紅、苔白あるいは白膩、脈濡
推奨処方:蒼朮15g 陳皮10g 厚朴10g 藿香10g 草果6g 生麻黄6g 羗活10g 生姜10g 檳榔10g
 
重症例
(1)疫毒閉肺証
発熱、顔面紅潮、咳嗽、痰が粘稠黄色、あるいは血混じり痰、息苦しく頻呼吸、倦怠、口が乾き苦くて粘稠、悪心、食思不振、便秘、尿量減少濃縮、舌紅、苔黄膩、脈滑数
推奨処方:生麻黄6g 杏仁9g 生石膏15g 甘草3g 藿香10g(後下) 厚朴10g 蒼朮15g 草果10g 法半夏9g 茯苓15g 生大黄5g(後下) 生黄耆10g 葶藶子10g 赤芍10g
(2)気営両燔証
高熱、口渇、息苦しく頻呼吸、うわ言、意識障害、幻視、あるいは斑疹、あるいは吐血、鼻血、あるいは四肢痙攣 舌絳少苔あるいは無苔、脈沈細数、あるいは浮大して数
推奨処方:生石膏30~60g(先に煎じる) 知母30g 生地30~60g 水牛角30g(先に煎じる) 赤芍30g 玄参30g 連翹15g 丹皮15g 黄連6g 竹葉12g 葶藶子15g 生甘草6g
推奨注射液:喜炎平注射液、血必浄注射液、熱毒寧注射液、痰熱清注射液、醒脳静注射液から1-2種類選ぶ。内服と併用可。
 
重篤例(内閉外脱証)
呼吸困難、体動激しく頻呼吸、あるいは補助換気が必要、意識障害、イライラ落ち着かない、汗は出るが四肢冷感、舌質紫暗、苔厚膩あるいは燥、脈浮大無根
推奨処方:人参15g 黒順片10g(先煎) 山茱萸15g 蘇合丸あるいは安宮牛黄丸と服用
推奨注射液:血必浄注射液、熱毒寧注射液、痰熱清注射液、醒脳静注射液、参附注射液、生脈注射液、参麦注射液から1-2種類選ぶ。内服と併用可。
重症、重篤の注射薬の推奨使用方法(使い方の翻訳は割愛)
ウイルス感染あるいは軽度細菌感染:喜炎平注射液、熱毒寧注射液、痰熱清注射液
高熱を伴う意識障害:醒脳静注射液
ARDS或いはMOF:血必浄注射液
免疫抑制:参附注射液
ショック:参附注射液
 
回復期
(1)肺脾気虚
息切れ、倦怠感、悪心食思不振、膨満感、便意はあるが出す力がない、水様便かつスッキリ感がない 舌淡胖、苔白膩
推奨処方:法半夏9g 陳皮10g 党参15g 炙黄耆30g 炒白朮10g 茯苓15g 藿香10g 砂仁6g(後下) 甘草6g
(2)気陰両虚
倦怠感、息切れ、口が乾く、水を欲しがる、動悸、発汗過多、食思不振、微熱或いは無熱、痰をあまり伴わない咳嗽 舌は乾き、脈細あるいは虚無力
推奨処方:南北沙参各10g 麦冬15g 西洋参6g 五味子6g 生石膏15g 淡竹葉10g 桑葉10g 芦根15g 丹参15g 生甘草6g 


中医学の表現は難しくきちんと翻訳できているか不安もありますが、数少ない臨床医からの翻訳としてどこかでお役に立つ事を祈っている。

2/5 中国政府が発表した「新型コロナウィルス感染関連肺炎の診療法案 第五版」で言及した治療方法
・全身管理(諸々書いてあるが一般的なものでしょう)
・呼吸状態&CT所見次第でメチルプレドニゾロン1-2mg/kg/day以下量で3−5日間使用を考慮
・「血必浄」の静脈投与 100ml ×2回/日 考慮(紅花 川芎 赤芍薬 丹参 当帰で組成された「化瘀解毒(血の滞りを取り解毒する」薬)
・腸内細菌叢調節薬の使用 
・回復期患者の血漿投与 考慮
・重篤患者では血液浄化療法考慮
⭐︎中医学治療推進
 病位は肺 病機は「湿 熱 毒 瘀」
 各地方の気候と患者と体質により、推薦された法案を参照し弁証論治せよ
↑上記のように中医学的介入を推奨している
当然最もリスクが少なく、安価で、スマートな治療は中医学治療と考えますが
弁証論治(気候 体質 徴候 舌所見や脈所見など身体所見から総合判断して治療を決める)のハードルが高いため一般医療現場では充分取り入れられないのが現実である
SARS終息に中医学の貢献が大きかったと中国政府やWHOに認められているが、この大騒乱の中、多くの中医師は初期からの関与のチャンスを与えられずにいた
とりわけ中医師が少ない湖北省では中医学の恩恵は受けにくかったようである。(2/14 中国財経網官方公表データによると、湖北省の治癒率は8%に対し、素早い中医学チームを導入した湖南省は治癒率が32%である)
それでも旧正月すぎあたりに、中国政府が組織した中医医療チームが武漢の金銀潭医院に入り、戦況に好転が見られたとのことである
中医学介入は、同じウィルス感染でも患者と場所により治療法が異なるので、画一的な処方を打ち出しにくいが
それでも大凡の傾向で考案された「清肺排毒湯」は画期的な効果を見せたと2/18中国国務院より発表された
確定の701例に対し投与 130人治癒退院 51人全身症状消失 268人全身症状改善 212人平穏 とのこと
351例詳細統計では、清肺排毒湯内服前では112例発熱あり(>37.3℃) 内服翌日に解熱した患者は51.8% 6日後までに解熱した患者は94.6% 咳嗽消失は80.6%  
内服前軽症または中等症例だった人が重症例に転化した人はなし
内服前から重症例だった22例中3例治癒退院、8例は中等症に転化したとのことである
現在新型コロナウィルス感染確定診断例で、中医学介入している例は6万107例(85.20%)である

朝、岡崎の病院に出かける夫に対し、「なんかあったら漢方で治すから〜」とケラケラ笑って送り出したけど、腕に十分自信があるわけではない。
まあそれでもおおよその事はできるつもりである。
とりあえず予防に桂枝湯を大量に持たせた(衛営調合)
试行第五版内容包括冠状病毒病原学特点、临床特点、病例定义、鉴别诊断、病例的发现与报告、治疗、解除隔离和出院标准、转运原则和医院感染控制等内容。,2020-02-05-17:02:00

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