中医太美

中国瀋陽市出身 名古屋大学医学部医学科卒業 安城更生病院 神経内科 現在出産後より安城市で町医者をしています 数年前より中医学に魅了され、中国の中医師の本を翻訳してブログで伝えていこうと思います

2020年03月


中国政府が派遣した中医チームが作成した
COVID19治療のための方剤(☆予防の方剤ではないですよ)

清肺排毒湯
(適用範囲:軽症、通常型、重症、重篤の患者には状況に合わせて使用)
基本方剤:麻黄9g 炙甘草6g 杏仁9g 生石膏15~30g(先に煎じる) 桂枝9g 沢瀉9g 猪苓9g 白朮9g 茯苓15g 柴胡16g 黄芩6g 姜半夏9g 生姜9g 紫苑9g 冬花9g 射干9g 細辛6g 山薬12g 枳実6g 陳皮6g 藿香9g)

日本でも作れます

実は、有事に備え2週前に6日分入手しました

名古屋鶴舞の明昭堂に調剤をお願いしうちに郵送してもらいました。


保険適応の生薬がほとんどで、これを処方し、
保険外の射干(やかん)と款冬花(かんとうか)は自費購入して自宅で煎じる時は一緒に投入します。(混合診療じゃん!ってつまらないツッコミしないでください。個人で買って投入しているだけです)

保険外の薬と郵送代も含め、全部で4800円ぐらいです。

射干や款冬花は普段あまり頻用しない薬剤なのに、明昭堂は気前よく翌日入荷してくれました。感謝です。

情熱、ですね。いつもここの漢方愛を感じます。

ちなみに4月1日より、都築医院の門前に、この明昭堂と同じ母体の草漢堂が調剤薬局としてきます。

煎じ薬はもちろん、丸薬、外用薬なども一緒に作っていけそうで、心強いです。

栄養士さん2人も雇っていただいて、今後都築医院での栄養指導、生活指導も充実していけそうです。西洋医学的な観点と、中医学的観点の両方から患者さんにアプローチできれば良いと思います。

(例えば、西洋医学的栄養指導では、腎障害以外の高血圧患者にK摂取をすすめ野菜果物の摂取を勧めており、基本的にそれを推奨しますが、ただし中医学的に生野菜や果物はおおよそ寒性なので、腎障害のない高血圧症でも陽虚の患者には勧められません。陽虚じゃなくても季節外れの野菜や果物は勧められません。
糖尿病患者さんでは、西洋医学的には炭水化物を食事の60%以下に抑えるよう勧めており、基本的にそれを推奨しますが、ただ中医学では同じ炭水化物でも五穀と野菜の炭水化物の性質は大きく異なり、五穀の摂取量は抑えてはいけないと考えてます、etc)

話逸れましたが、清肺排毒湯は日本でも作れます
薬局さんが頑張ってくれれば

先生方は迷ったら明昭堂 草漢堂に言ってください。全て揃えられます。
処方箋と住所などFAX後、処方箋を薬局に郵送、
後は生薬が着払いで届くだけです。
あ、患者が個人で薬局から射干と冬花を自費で買わなきゃいけません。これも連絡すれば一緒に郵送してくれます。

  今回の新型コロナウィルス感染症は「湿邪」であると前回ふたつの記事で書きました。
 湿邪に対処する予防の生薬はありますが、それはまた次回著名の先生の記事を翻訳します。

 ほとんどの皆さんは、生薬ではなく食事でできる対策を求めています。それを著名の中医師 徐文兵先生の著書を参考にしてまとめました。今の日々の食事の選択の中で少し取り入れていただけると幸いです。
 
 食事の対策も「湿邪」「寒湿」の対策でよいと考えます。
 今年は日本も武漢と同じく暖冬であり、そして雨の日も続いています。気温が比較的高いと湿度もあがり、そして暖冬といえど季節は初春であり寒いです。日本も今は湿邪 寒湿が問題になっていると思います。


 あと、おすすめ食材を語る前に、まず大前提です!
 中医学は、「○○をする」以上に、「○○をしない」ことを大事と考えます。
 前回記事でも書いたように、脂っこいものと甘い味のものは内湿を増強させるので、今は控えた方がよいです。

 「魚生火、肉生痰」という言葉があります。
 中医学の言う「痰」は所謂肺から出てくるアレだけではなく、「湿」の中の一種であり、粘っこく除去しにくい「湿」です。
 内湿を増長させないために、肉類を控えた方がいいです。ただし、後述しますが、発酵処理した肉なら問題はすくないです。
 また、餅のような粘っこく甘いもの(砂糖いれなくても餅米は中医学的に甘味と分類されます)は痰湿を増長させる食べ物として名高いです。
 そして甘い味全般的に痰湿を生みやすいです。アイスクリームなどは論外です。例えば、健康目的でデーツ(ナツメヤシ)を食べている人が多いですが、これも甘味であり内湿がある人は注意すべき食べ物です。
 肉も餅米も甘味も、それぞれの効能もあるので一概に避けるべきものではないですが、外湿が問題になる時期、または内湿が盛んな人は避けるべきです。
 
 さて、本題、「湿」防御のための食品編

 中国では南方の地域に古くから湿気が強い地域が多く、その食習慣にヒントがあります。

 まず、南方の人々は酸味と腐食(発酵品)を好んで食べます。

 酸味と発酵品は消化を助け、脾胃での痰湿生成を減らすことができます。発酵品はとりわけ優秀で、発酵の過程で食品がある程度分解され非常に消化しやすくなり、脾胃に負担をかけません。これはすなわち消化され、人にとって有用な「気 血 津液」となりやすく、廃棄物の痰湿を作りにくいということになります。

 実際南方の人々は古くから肉を発酵し、「腊肉(ベーコン)」「腌肉(漬肉)」「火腿(ハム)」にして摂取しています。


 ここまでは「湿」を作らない食品の話でした。


 次は「湿」を散らす食品編

 湖南省、湖北省、四川省、雲南省、貴州省など湿気が盛んかつ奥地ゆえに寒冷も共存する地域で古くから辛味が愛されています。

 辛味は、「寒」と「湿」をとるには最強です。

 インド人がカレーを愛するのも似た原因かもしれません。インド洋からの湿気はヒマラヤ山脈に遮られインド全土に降り注ぐので、カレーの辛味で体内の湿を排出しているかもしれません。

 生姜、葱、ニンニク、山椒、紫蘇、大根などは、寒湿対策の有力食材です。
 ちなみに辛くて嫌な人は、酸味を組み合わせてとると辛味は緩和されます。生ニンニクは胸やけするけど、ニンニクの酢漬け(らっきょ?)にすると緩和されますよね。

 辛味も度がすぎると脾胃(消化機能)を傷害させます。適度でお願いします。

 最後にとある南洋中医師が提案した、家の食材で作れる予防ジュースを紹介します。

 葱白(葱の白い部分)生姜 ニンニク 黒糖 
 量は適当です(笑)上記を水で煮込んみ(沸騰後2分程で可)、その汁を飲みます。
 黒糖は甘いですが、脾胃を保護する作用があるので今回は使います。
 作りたては辛くて不味いですが、常温に戻した後にうちの旦那さんに飲ませたら、
「あ、ジンジャーエールじゃん笑」という反応でした。
 上記の寒湿をとる趣旨のものとしては、良いかとおもいます。

 次回、予防の生薬処方について書きます。
 
 

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